ばいばい ちゃこちゃん
2019.01.16 <日記>
叔母が昨日亡くなった。
幸せ薄い女性だった。
伊勢崎のはずれの小さな街のアイドルで、小柄で可愛い人だった。
「ちゃこちゃん、前橋に住めば?」
「あたしはここでいいよ」と小さなアパートで一生を終わった。
私は高校生の頃、学校に行くのがイヤな日はこの小さな街の叔母を頼って、電車を乗り継いで、駅からとぼとぼと歩いてアパートを訪ねた。突然なのになにも言わず、甘いインスタントコーヒーを出してくれた。高校の制服で平日の朝に突然、訪ねてくる前橋の姪になにも聞かず、ただ笑顔で迎えてくれる。あたたかい日差しと安い香水の香りがするせまいちゃこちゃんの部屋が、あの頃の私を何回助けてくれたことか・・
夕方になると厚化粧をして叔母は仕事に出かける。「前橋のあんちゃんには電話しといたから泊まっていけばいいよ」そう言いながらまた、甘いインスタントコーヒーを入れてくれるのだ。
「帰るよ」
そい言う私に「そう。またきなね」
それだけのことなのに、あの時間がどれほど幸せであったか・・
幸せ薄い叔母ではあったが、本当に優しい人だった。優しすぎて幸せになれない人だった。
私にはこの女性の優しい血が流れている。
そう思うと地位や名誉やそんなものはどうでもよくなる。
なにがあっても大丈夫な気がする。
ありがとう ちゃこちゃん。
ばいばい またね。